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将棋盤の選び方

「将棋を指すために将棋盤が欲しいけど、どんなのを選んだらいいかわからない…」

三月のライオンや藤井聡太二冠(2020年時点)人気の影響で将棋を始めようとしている人が増えています。
将棋は、スマートフォンやパソコンのソフトで指すこともできますが、実際に盤駒を使って指したいという人もいらっしゃることでしょう。

しかし、実際盤駒も多種多様で、どれを選んで良いか迷ってしまう方もいらっしゃるでしょう。
よくあるプラスチックのものから、プロ棋士がタイトル戦で使用する立派な足つきの盤まで、将棋盤一つ取っても非常に多いのが実情です。

そこで、今回は、将棋盤選びのアドバイスをお伝えできればと思います。

将棋盤を選ぶ基準に価格や好みなど様々な要素があります。
特に、価格はピンキリで、これについては後ほど詳細にお伝えできればと思います。

将棋盤を選ぶ上で、考えたいことは自らの棋力です。
まだまだ始めたてという方であれば、プラスチックや布版でも良いかもしれません。
いきなり高価な盤を使うのは、割りに合わない可能性もあります。
盤は、高いものになると100万円以上するものもあります。
収集家ならともかく、まずは楽しみたいという方であれば、いきなり高価なものを購入する必要はありません。

また、高価なものは、足つきで駒台もついた大変立派なものです。
しかし、いかんせん置いておくのにスペースを取ります。
昔の日本のように、住宅が広ければともかく、都心のマンションやアパート住まいだと、せっかくの盤が邪魔に感じてしまうかもしれません。

なので、いきなり無理して高いものを購入するのではなく、自分の気力と盤の利用頻度や住宅事情を踏まえて購入すると良いでしょう。

将棋盤の価格を決める要素

将棋盤の価格はピンキリとお伝えしましたが、百円ショップで購入できるものから、将棋連盟や専門店で購入する数百万円単位のものまで様々です。
そこで、ここでは気なる将棋盤の価格について取り上げます。

将棋盤の価格は、以下の6つの要素で決まると言われてます。

  1. 材料
  2. 木取り(木目)
  3. 天面の綺麗さ
  4. 厚さ
  5. 欠点
  6. 一枚板かハギ盤か

各々について詳しくみていきましょう。

木の材質

将棋盤の価格を一番左右するのではないかといわれるのが「材質」です。
将棋盤を作る材料で、価格はまさに桁違いに変わります。
ここでは、5つの材料について取り上げます。

本榧

文句なしナンバーワンの材料はこの「本榧」です。
将棋盤の最高峰で、美しさや指した時の大人ど全てに置いて最高レベルです。
木目も美しく、使えば使うほど淡黄色の色合いも美しくなります。まさに、一生使える一品です。

カツラ科の来陽高木で北海道産のものが多いです。
指した感じは固めですが、音の響きは綺麗です。
年数が経つと色が暗くなるので、削り直しなどが必要になります。

ヒバ

北米産のヒノキ科の常緑高木です。
色は黄白色で明るいのが特徴です。
木目も細かく、見た目も綺麗です。
材質が柔ないので、桂と違い柔らかいのが指し心地です。
若干耐久性に難があります。

新榧

榧という文字が入ってますが、「本榧」とは別物です。
北米から輸入されるスプルース材で、色合いは白っぽいのが特徴です。
使用寿命は短いといわれてます。

その他

よく見かける将棋盤で、折りたたみのものであったり、布タイプのものがあります。
価格も安いため、気軽に使用できるメリットもあります。
壊れたりしても気軽に買い替えができます。
また、置き場に困ることもないので、何を買おうか迷ったらこちらを購入しても良いでしょう。

木取り(木目)

原木から将棋盤の材料を切り取ることを「木取り」と言います。
この木取りには、天面の木目が柾目(まさめ)となります。
柾目には、「天地柾」、「天柾」、板目となる「木裏」、「木表」があります。
高価な順番に並べてますが、価格は反りに強いに比例します。

天面の綺麗さ

盤の表面を「天面」と言いますが、この天面の美しさも価格に大きな影響を与えます。
天面でも特に重要視しているのが、天面の色合いや木目の美しさ。
ムラがなく、色合いが均一の盤面が見やすく、実用的と言われてます。
また、赤みが入っている日向榧のような色合いを好む方もいらっしゃいます。
木目は、「柾目」と「板目」の2種類があります。
人気があるのは「柾目」で、先ほどもお伝えしたとおり、価格も高価になります。
特に、木目の間隔が程よく緻密で、まっすぐなものが高価になりがちです。

厚さ

番の厚さも価格に影響を与えます。
それだけ、材料を使うことになるため、厚い方が価格は高くなりますが、それだけ立派で見栄えもよくなります。ただし、使い勝手は薄い盤の方が良いです。
厚さは、足付きだと3寸からで最大8寸(厚さ約24cm)になります。
卓上盤の場合は1寸から3寸になります。

欠点

欠点は、フシ、入り皮、割れ、キズ、シミなどがあります。欠点がないよう、通常はそこを避けて制作されますが、品質や厚みの都合で使用に問題がない範囲で入ることはあります。

ちなみに、本榧は復元力があり、割れが自然にくっつく性質があるそうです。すごいですね。

一枚板かハギ盤か

卓上盤では、一枚板とハギ盤の2種類があります。

一枚板の方が価格は高い傾向にあります。継ぎ目がなく、色合いや木目が揃っていて美しいのが特徴です。しかし、乾燥させた材料でないと反りが発生することもあるので注意しましょう。
一方、ハギ盤は、複数枚の材料を按合してるため、一枚板に比べ美しさは損なわれますが、その分反りに強いのが特徴です。価格も手頃なのは嬉しいところです。

おすすめの将棋盤

以上を踏まえて、どの将棋盤を選べば良いのでしょうか。
ここでは、3つの観点でお伝えします。

値段の安さで選ぶなら

材料にこだわらなければ、様々ですが、せっかくなら1寸の卓上盤が良いでしょう。
価格もハギ盤だと手頃で、将棋を指している実感がします。
木になると、駒を指すときの音も綺麗な響きになります。
価格も1万円台から買えるものもあるので、探してみましょう。

コスパで選ぶなら

3寸の卓上盤や、自宅にスペースがあれば足つきの新榧や桂が良いでしょう。
特に、足つきになると、見た目も立派で駒音も変わってきます。
場所に制限があれば、3寸盤でちょっと使い勝手を重視しましょう。

高級で選ぶなら

最高級品を使いたい!という方は価格に糸目をつけず、本榧を選びましょう。
他の将棋盤とは別格の指し心地、駒音になります。
憧れのプロ棋士と同じものを使えるというのも嬉しいですね。
また、本榧の盤で指すなら、駒も最高級のものを揃えたいところです。

将棋駒も種類は様々

駒の素材は盤と同様、高級な順に本黄楊(ほんつげ)、シャムつげ、まき(マユミ)、はびろ(ハクウンボク)、あおか(ウリハダカエデ)、いたや(イタヤカエデ)等があります。

駒が盤と大きく違う点は文字の入れ方にも様々な方法、価格差がある事です。

ランクとしては盛上駒 → 書き駒 → 彫埋駒 → 彫駒 → 書き駒 → 押し駒の順になります。

文字による価格差の要因は割と明確で、大きく分けると以下の通りです。
・文字は手書きが高級、機械、スタンプの順に安くなる
・彫刻は手彫りが高級、機械、彫らない順に安くなる
・彫った駒の溝に蒔絵筆で漆を入れたものは最高級、それ以外の方法で漆を入れたものは高級

さらに駒の種類やランクだけではなく、書体も様々です。
また、職人によって駒の特徴が変わるのも駒選びの醍醐味ではないでしょうか。

将棋が強くなるために、良い盤駒を揃える

ここまで、将棋盤の選び方と、その価格を決める要素についてお伝えしました。
将棋盤も奥が深い世界で、使っていくうちに自分の好みも出てきます。
なので、初めは手頃なものを選ぶと良いでしょう。

盤といえば、将棋界のレジェンド・大山康晴15世名人が名言を残しています。

「将棋が強くなるために、良い盤駒こと」

良い盤駒を買うと、それだけ投資することになるため、将棋を指そうというモチベーションが上がるという意味かと思われます。
初期投資をしてモチベーションを上げるという意味では、ライザップに近いものがありますが、将棋もそうやって強くなろうとする方法があるかもしれません。

強くなりたい人は、大山先生の言葉を踏まえて、盤駒を選ぶのも一つの手かもしれませんね。